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企業DATA
株式会社山下農園
徳島県阿波市阿波町日吉谷76
TEL・FAX 0883‐35‐2843
E-mail toyama@lime.ocn.ne.jp
導入している商品
- ・ハウス用暖房機(LPガス)
- ・炭酸ガス発生装置(LPガス)
- ・ガス給湯器(LPガス)
『山下農園』は、半世紀前からトマト栽培に取り組む徳島県におけるパイオニアです。35年前、現社長の山下徹さんが帰郷し、土壌栽培から養液栽培へと転換。これを機にハウス内の暖房のため、貯湯型ガス式ボイラーと光合成を促進させる炭酸ガスの発生装置を導入し、『中岸商店』との取引が始まりました。現在は息子の拓郎さんと共に5.5反のハウスで年間82tのミニトマトを栽培。オリジナルブランド「ボーノトマト」として、京阪神を中心に出荷されています。
(ツクレボ 松永)
養液栽培に注目し、先駆的に取り組む
宗本部長:山下さんが養液栽培を始められる際に、溶液を温める貯湯型ガス式ボイラーを導入いただいたのがきっかけですから、もう35年くらいのお付き合いになりますね。私も入社して30年になりますが、その時から担当させていただいております。ありがとうございます。
山下さん:そうですね。私たちが養液栽培を導入する1年前に、『中岸商店』さんが他の農家さんと一緒になってNFT方式(水耕栽培)を開発されていたので、それに近いものをイメージしていました。当時、ロックウール栽培など様々な養液栽培の方式がヨーロッパから入ってきていましたが、実際に導入しているところはまだ少なかったですね。徳島県内でも養液栽培に必要な装置を扱っているところはなかったですし、中岸さんはいち早く導入されていて実績もあったのが良かった。
宗本部長:養液栽培は注目されつつありましたが、いち早く取り入れられた山下さんの行動力はスゴイですね。
山下さん:一生懸命土を耕して堆肥を入れ、毎年連作していくと土壌病害にあったりして、だんだん作りづらくなっていく土栽培に比べ、土づくりをまったく心配しなくていいのが養液栽培。これにより作業が飛躍的に楽になりました。
美味しいトマトを、ほどほどの値段で
松永:山下さんのトマトは光沢があって、みずみずしいですね。「ボーノトマト」という名前もいいです。
山下さん:品種はアイコというミニトマトなんですが、「商品名があった方がいいだろう」と子どもや孫たちにも相談し、イタリア語で「美味しい」を意味する「ボーノ」から名付けました。「ボーノ」は、まだ言葉を話せない小さな子どもが気持ちを伝えるベビーサインでも使われているそうなので、みんなに喜んでもらえるトマトになればと思っています。
宗本部長:昔はもっと大きなトマトを作っておられましたよね?
山下さん:そうですね。最初に作っていたのは大玉トマト。12年くらい前に中玉トマトに転換して、誰もが気軽に買いやすい「ほどほどの値段で美味しいトマト」を目指す中で、現在の楕円形のミニトマト『アイコ』に行きつきました。旨味が凝縮したフルーツトマトを作ることも考えたんですが、どうしても割高になってしまう。小さくて味のいいアイコは、作り手にとっても消費者にとっても納得のいく商品だと思います。
宗本部長:35年前、ほとんどの農家さんは重油式の暖房機がほとんどで、石油と比べるとガスのコストはやや高めでした。しかし、ガス機器は完全燃焼するのでメンテナンスがほとんど必要ないですし、排ガスもクリーン。長い目で見れば維持費や環境面のメリットは大きいと思い、ご提案しました。現在は電話回線を利用した携帯端末を設置しているので、機械が停止したら自動で知らせが入り、24時間いつでも即駆けつけます。サポート体制にも自信がありますが、「ガスは危険」というイメージを持っておられる方がまだいらっしゃいますので、「扱いやすいクリーンなエネルギー」ということを伝えていきたいと思っています。
山下さん:冬場など夜中に暖房がストップしてしまうとトマトが凍ってしまうので、調子が悪いと夜中でも電話させてもらったり、年末やお正月でも来てもらったり…。そういうのは信頼関係なかったらできませんから。
宗本部長:植物とはいえ、相手は生き物ですから、いつでも駆けつけます。定期点検など未然に事故や故障を防ぐ努力は確実に行っていますが、その時々で連絡いただけるのはありがたいです。そして、お互いの信頼関係は何より大事だと思います。
データ解析、施設栽培はますます面白い!
宗本部長:息子の拓郎さんが戻って来られ、跡を継がれるとか。これで一安心ですね。
山下さん:私もびっくりしています。息子は農業に関してこれまで全く関心がなかったですから。農業系の学校に進学するわけでもないし、「農業を教えてくれ」と言われたこともありません。関東で就職して、結婚し、子供が幼稚園にあがるタイミングで、何か思うところがあったんでしょうね。Uターンして、「農家をやる」と戻ってきました。
松永:2016年にハウス環境を一元管理する自動システムを導入されたと聞きましたが、いかがですか?
山下さん:今までの農業は経験や勘が頼りでしたが、自動システムのプロファインダーの導入により、日射量や湿度、温度、炭酸ガスの量などを細かくデータ化し、環境を見える化できたことで、地下部分の管理だけでは改善されなかった葉先枯れやしおれも、ハウス全体の環境制御で、改善できるようになりました。これにより、ますます施設園芸がおもしろいと感じています。
松永:データを解析することでベテラン農家を追い抜く人も出てくるかもしれないですね。
山下さん:このシステムはオランダから入ってきたものですが、40年前、オランダと日本は生産量も農家の規模も、同じくらいでした。それが毎年1%ずつ収量を伸ばしていくという政策を確実に行うことで、今では日本の2~3倍の収量に。4~5年くらい前から安価な機器も出回るようになり、システムを新しく導入する農家さんも増えています。
宗本部長:若い人の方がITが得意ですから、息子さんが加わったことでさらに実績を伸ばしていくかもしれませんね。
山下さん:これからの施設園芸はこれまで以上に石油やガスもたくさん使って環境の制御が必要になるでしょうね。今までの採れ高よりも5割多く、7割多く収量がアップできるというデータもあるので、期待しています。
宗本部長:今後、何か計画されていることはありますか?
山下さん:これからはハウス栽培は息子に任せて、私はサポートに回ろうと思っています。これまで長期間の旅行はなかなかできなかったので、五大陸制覇を目指し、海外旅行へも行きたいですね。
宗本部長:それは楽しみですね。ありがとうございました。