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interview 02 大谷焼

企業DATA

合同会社 大西陶器
徳島県鳴門市大麻町大谷字東山谷17-2
TEL:088-689-0414
http://onishitoki.jp

導入している商品

  • ・ガス窯(プロパンガス)
  • ・ガス給湯器(LPガス)

企業DATA

田村陶芸展示館 元山窯 田村商事株式会社
徳島県鳴門市大麻町大谷字中通り3-1
TEL: 088-689-4039 FAX:088-683-5108
https://55web.jp/motoyamagama/

導入している商品

  • (新工場)・ガス窯(プロパンガス)
    ・ガス給湯器(LPガス)
  • (旧工場)・ガス窯(ブタンガス)

時代と共に進化する大谷焼

焼き物と聞くと、土の窯で薪を燃やして作るイメージがありますが、現代ではガス窯が主流なんでしょうか?

勝浦さん:そうなんです。昔は登り窯という薪の窯を使っていました。それが約50年くらい前からガス窯や電気窯を使うようになりまして、ガス窯は大きな甕などを焼くのに重宝します。中岸さんと取引が始まったのもその頃からと聞いています。

ガス窯を導入されたきっかけは?

勝浦さん:工場を移転するタイミングでガス窯にしたと聞いています。当初はブタンガスを使って焼いていましたが、今はプロパンガスを使用しています。

なぜLPガスを使用しているのでしょうか?

中岸さん:勝浦さんのお父さんからガス窯を新しいものに更新するという相談があり、あわせてガス給湯器も更新したいとの要望を受けました。LPガスの自然気化方式なら気化器が不要になることから初期費用を抑えられるので、LPガスを提案させていただきました。

田村さんのところはいかがですか?

田村さん:4~5年前がちょうど会社の変革の時で、工場を新しくしました。窯はガス窯と電気窯の両方を使っていまして、中岸さんから電気の販売もしているとの提案があり、現在はガスと電気の両方を中岸商店さんと取引しています。

電気窯とガス窯の使い分けのポイントはどんなところでしょうか?

田村さん:陶芸はいろんな技法があるんですよ。焼き方も色々あって、電気は電気のいいところ、ガスはガスのいいところがあるんですが、ガス窯はマルチなんです。電気窯だと電熱線の劣化具合によって張り替えしないといけないんですが、ガス窯は上手に使ったら20~30年使えるんです。
焼成には酸化焼成と還元焼成という2種類のやり方があるんですが、ガス窯は両方できて、すごく使い勝手が良くていいんですよね。だから陶芸をやってる人は「ガス窯は1台欲しい」と、みんな思ってるんじゃないでしょうか?

大谷焼をリードする若い力に注目

本日のインタビューは東林院さんの中にあるカフェ『ろうそく夜』さんの一角をお借りして行っていますが、東林院さんとの関わりは大谷焼窯まつりですか?

勝浦さん:そうですね。今年で44回目になります。

田村さん:東林院さんには大谷焼の陶祖のお墓があるんですよ。そういう意味でもここで大谷焼窯まつりが行われています。

今年の窯まつりはどんなものになるんでしょうか?企画は何か決まってますか?

勝浦さん:窯祭り自体、だいぶ成熟してきて、ややマンネリ化も進んでいるので、新しい試みも含めて別のカタチも模索しているところです。

田村さん:始まって44年間、ほぼ変わってないってすごく珍しいですよね。器も時代に合わせて変わっているので、イベントも当然変わらないといけないと、今、みんなで相談してます。

大谷焼の方達はみんな仲がいいですよね。

勝浦さん:そうですね。商工会の青年部とか、若い人が集まったりすると「鳴門を盛り上げていこう」という話もしていますね。

最近、外国人観光客の方も増えてますよね?大谷焼も注目されているんじゃないですか?

勝浦さん:外国人の方は伝統工芸品が好きなように思います。買い物もそうなんですが、作業をしてるところを見せて欲しいっていう方も多くて、最近SNSで、ダイレクトに交渉メールが来たりするんですよ!
全部、英語で書かれているので、訳すのに苦労します。

中岸さん:外国の方は何々焼みたいなイメージはあるんでしょうか?

勝浦さん:あまりないかもしれませんね。日本人は何々焼=ブランドというイメージですが、外国の方は日本文化のひとつとして興味を持って見ていると思います。

そういったニーズに合わせて商品も変わっているんですか?

勝浦さん:今はほとんどの窯元さんに若い方がいらっしゃるので、世代が変わったら、店の作風もだんだん変わってきてますよね。
焼き物や陶芸は年配の方が買うイメージがあるかもしれませんが、若い人も買って下さっていて、デザインも刷新して若い人向けのものも増えましたね。作る側も似たような世代なので、そういう人に向けた器が増えているのかもしれませんね。

普段の生活で使う商品が増えてるってことですかね。

勝浦さん:いい意味でハードルが下がって、幅も広がったのかもしれません。

作り手が感じる大谷焼の魅力はどこにありますか?

田村さん:大谷焼は全国的に言うとメジャーではないですが、最近特に若い人が増えて、それぞれ各地で修業して、いろんな技法をもっているんです。今までにないくらいバラエティに富んでいて、メジャーな産地ではないけど、やっていることのレベルは高い。
だから、県外のいわゆる“産地”みたいなところへ行かなくても、大谷焼の中にもオモシロいものがたくさんあることを知ってもらいたいですね。

勝浦さん:大谷焼は「重たい」とか「分厚い」とか、昔のイメージが残っている人も多いと思うんですが、実際、触ってもらったり、見てもらったりしたら、全然違うと言われますので、まずは手に取ってもらいたいと思います。

作り手の個性が魅力を生みだす

中岸さん:私は、大谷焼の食器や花瓶、睡蓮鉢など実用性のあるものをよく購入するんですが、芸術性のある作品を作られたりしますか?

田村さん:はい。創作活動をしていまして、美術展や公募展へ出展したり、何年かに一回は個展もやっています。

中岸さん:商品制作と創作活動の割合はどのくらいですか?

田村さん:若い時は創作活動を中心にしていました。でも今は商品制作が忙しくて、バランスをとりながらやっています。

中岸さん:創作する時、インスピレーションはどこから得られるんですか?

田村さん:基本は自然のものですね。例えば、川に落ちてる石ころをヒントにモノづくりしたりしています。左右均等とか、まっすぐのモノというのではなくて、見る方向によって動きがあるよう、自然の柔らかい線を作品に出せるように考えています。

中岸さん:その作り方は昔から一貫しているんでしょうか?

田村さん:そうですね。そこだけはぶれてないですね。

中岸さん:焼き物の産地で気になる産地はありますか?

田村さん:岡山の備前焼が好きなですね。あそこは薪窯だけなんですよね。火襷(赤や茶などの線が「たすき」のようにかかった模様)とか灰かぶり(表面に半溶け状態の灰がついてできる模様)とか、備前の中だけの技法がありまして、参考にしてますね。

中岸さん:勝浦さんは、気になる産地はありますか?

勝浦さん:僕は産地というより、作り手に興味があります。日本に限らず、海外の作品も見ますし、陶芸家に限らず、漆の人だったり、量販店が大量生産してるものも見たりするんですよ。そういうものを見ることで、インスピレーションを得るのとは少し違いますが、今どういうものが求められてるのかというニーズを知ることができますね。
「これが僕の作品だ!」という感じよりは、みんなが欲しいって思ってもらえる作品に、ちょっと自分の色がついてたらいいかなと思います。僕、芸術的なセンスが高くないんですよ。絵を描いたら下手ですし(笑)。割合でいえば10:0と言ってもいいぐらい日用品に特化していて、芸術性のある作品は作っていないですね。

中岸さん:大谷焼の食器を使ってますが、生活になじむし、使いやすいです。洗いやすさや食器かごで水切りする時に食器を立てる場合とか、そういったこともちゃんと考えられて作られてるな、と思います。

勝浦さん:器以外の知識も大切にしていて、コーヒー屋さんに「カップの内側のラインがこういう形の方が香りがたちやすい」という話を聞いたら、それをやってみようって思いますね。幅広くアンテナをはってます。

田村さん:大谷焼は他にもいろんな人がいるので、そういう人たちが魅力の幅を広げていると思います。

まずは大谷焼を手に取って、今、どんな器が作られているのか、実感してみて欲しいですね。ありがとうございました。